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乳癌におけるCVポートを使った外来化学療法【5】

2. CVポートの有用性

乳癌での抗癌剤治療は、病状や薬物によっては入院加療が必要になることがありますが、それらの例外を除きほとんどのケースが外来通院で行っています。安全な投与がもとめられます。

CVポート(リザーバ)に専用針のヒューバー針(ノンコアリングニードル)を刺すことにより薬液が投与が可能

CVポートを留置することは 前述【(4)~(6)】の負担をなくし外来通院抗癌剤治療を安全に行うため有益な方法です。CVポートが留置されていますと抗癌剤投与日には一回の穿刺(せんし)で確実に安全に体内へ投与可能であり、血管炎の心配もありません。治療中も腕は自由に動かすことが可能です。
乳癌再発症例では上腕浮腫(ふしゅ)の病態があります。これはリンパ節転移や、あるいは手術・放射線治療に伴う合併症の一つで腕が太くなり末梢血管がわかりにくくなることです。そのような場合でもCVポート留置症例では安全に抗癌剤を投与することが可能となります。
上腕浮腫と関連し、採血検査が行い難いケースがありますが、必要に応じてCVポートからの採血も可能です。
CVポートは鎖骨の下の太い血管や頚部(けいぶ)静脈、大腿静脈、上腕の静脈などを経由し心臓:右心房手前にチューブの先端を留置することになります。その手技の際の合併症の可能性はありますが、上記の長所の方が勝っているため、患者さんのご了解がえられれば術前化学療法のような比較的短期間(約6ヶ月程度)の治療でも留置することをおすすめしています。

3. 患者さんの疑問点~質問が多い点など

Q:入浴などでの制限はありますか?

A:特にありません。

Q:日常での消毒やお手入れは必要ですか?

A:必要ありません。

Q:リュックは背負っても大丈夫ですか?

A:全胸部にポートがある際には、物理的に押しつけるような力は違和感や疼痛が生じることがあります。リュックなどは強く圧迫しないように気をつけてください。また、自動車のシートベルトで圧迫される事があります。その際はシートベルトと衣類の間にタオルなどで保護してください。

Q:空港の金属探知機でチェックされますか?

A:まずありません。万が一チェックされたら、CVポート挿入時に担当医から配布される患者記録カードを空港係官へお見せください。

CVポート(リザーバー)が体内に埋め込まれていることを医療従事者、海外旅行時に伝達できる患者記録カードの例

CVポート(リザーバー)について解説した動画 ヒューバー針(フーバー針)の自己抜針についての動画

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