治療の実際
以下に一般的なCVポートの管理方法を紹介します。
監修 医療法人川崎病院 外科総括部長 井上善文
両手を石けんと流水で十分に洗います。
清潔な手袋を着用します。
生理食塩液でヒューバー針の内部を満たし、空気を完全に出してからクランプを閉じます。
(1)ポートの位置を確認します。
(2)70%アルコール、ポビドンヨード、ヒビテンアルコールなど消毒液を使用し、ポートの中心から外側に向かって円を描きながら、直径10~13㎝の範囲を消毒します。
(3)消毒液が乾燥するまで待ちます。
ポートの位置を確認します。その後、人差し指と親指でポートをはさみ、利き手を使って、セプタムに対して直角にヒューバー針を刺します。針先が底にあたり、コツという感触があるまで押し進めます。この針を刺すことを穿刺(せんし)と呼びます。
イラストのように、ポート内の液体を吸引することで、適切な位置に針が刺さっているか、カテーテルのつまりがないかなどを確認します。
確認後20mLの生理食塩液でカテーテル内を洗浄(フラッシュ)します。
ヒューバー針と点滴用のチューブを接続して、薬剤注入を開始します。
点滴が滴下していることを確認します。
(1)滅菌ガーゼをヒューバー針の翼状の部分の下に、針がぐらつかないように適切な厚さで挟みます。その後、翼状部の上からドレッシング材等で全体を覆い固定します。
(2)手袋をはずして手洗いをします。
<通常タイプの場合>
(1)ヒューバー針のクランプを閉じて注入を止めます。
(2)生理食塩液でカテーテル内の薬剤を洗い流します。
(3)ヘパリン加生理食塩液100単位/mLを10mL注入し、カテーテル内に残っている薬剤を洗浄します。残りが0.5mLになったら、注入しながらクランプを閉じます。(出血傾向のある患者様に使用する際には、注意して使用します。)
(ヘパリン加生理食塩液の使用については、医師にご確認ください。出血傾向のある患者様に使用する際には注意が必要です。)
※詳細については主治医にお問い合わせ下さい。
<逆流防止機能付きタイプの場合>
(1)輸液ラインのクランプを閉じて薬剤の注入を止めます。
(2)生理食塩液が入った10mLのシリンジを用意します。ゆっくり注入し、残りが0.5mLになったら、注入しながらヒューバー針のクランプを閉じます。
<ヒューバー針の抜針方法>
(1)流水と石鹸でよく手を洗います。
(2)清潔な手袋を着用します。
(3)針を軽く抑えながら、固定に使用していた透明ドレッシング材等を丁寧にはがします。そして、一方の手でポートを固定し、もう一方の手で垂直に針を抜きます。
<安全機能付タイプ(機能の一例)>
親指と人差し指の関節内側で翼状部の両サイドを持ち、掴むイメージで把持し、持ち上げながら翼状部を締めつけます。「カチッ」というまで翼状部を完全にたたみ込みます。(針によって抜き方が違うことがあります。)
使用後の針やチューブは、そのまま医療用廃棄物として、鋭利物容器に入れてください。
(1)滅菌ガーゼ又は滅菌テープで針を刺した部位を覆います。もし出血があれば押さえて止血します。(圧迫止血)
(2)手袋をはずして手洗いをします。