インフォームドコンセント
乳癌におけるCVポートを使った外来化学療法【3】
(3)血管内薬剤投与の意義・必要性
乳癌で使用する主な抗癌剤を表に記載します(表1)。
どのタイミングでどの薬物を選択するか、については現在もいろいろな方法で検討されています。相当数の患者のデータを用いて全世界的にもいろいろと検討されています。乳癌にとって非常に重要な薬剤はアンスラサイクリン系、タキサン系が挙げられます。この2系統は術前・術後問わず一般的にははじめに投与すべき薬剤に位置します。その治療を行った症例で残念ながら再発・転移を来した場合には1stline, 2ndline薬物療法を行います。その際にはアルキル化薬、代謝拮抗剤(たいしゃきっこうざい)、ビンカアルカロイド系などを選択し投与します。内服抗癌剤もありますが、主流は静脈注射薬となっています。通常、末梢血管(腕や足など、皮膚表面に近い静脈)に針を刺入し投与します。近年普及している分子標的薬剤:トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)も血管内投与で実施しています。
一般名 | 略名 | 主な商品名 | 投与方法 | |
アルキル化薬 | シクロホスファミド | CPA | エンドキサン | 経口、静注 |
代謝拮抗剤 | メトトレキサート | MTX | メトトレキサート | 静注 |
5-フルオロウラシル | 5-FU | 5-FU | 静注 | |
カペシタビン | CAP | ゼローダ | 経口 | |
デカフール・ギメラシル・テオラシル カリウム配合剤 |
TS-1 | ティーエスワン | 経口 | |
ビンカアルカロイド系薬 | ビノレルビン | VNB | ナベルビン | 静注 |
アンスラサイクリン系薬 | ドキソルビシンまたは アドリアマイシン |
DXRまたは ADM |
アドリアシン | 静注 |
エピルビシン | EPI | ファルモルビシン | 静注 | |
タキサン系薬 | パクリタキセル | PTX | タキソールなど | 静注 |
ドセタキセル | DTX | タキソテール | 静注 |
資料:日本乳癌学会編、「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン〈1〉薬物療法」、東京:金原出版、2007より引用改変
- 他再発時使用薬剤(静注):
- 塩酸ゲムシタビン(商品名:ジェムザール)、
塩酸イリノテカン(カンプト)
カルボプラチン(商品名:パラプラチンなど)
シスプラチン(商品名:ブリプラチンなど)
パクリタキセル(アルブミン懸濁液)(商品名 アブラキサン)