インフォームドコンセント
点滴には大きく分けて2つの方法があります。
末梢静脈(腕の静脈)に細くて短いチューブ(カテーテル)を挿入し、そこから薬などを点滴します。挿入は比較 的簡単なので、現在一般的に行われている方法です。一方、細い血管に点滴するので、血管が薬による刺激を受けやすく、使う薬によっては痛みを伴ったり、血管を傷つけたりすることがあります。
□ 点滴中や点滴後に腕が痛みませんか?
□ 点滴中や点滴後に血管のまわりが腫れませんか?
□ 腕が痛くて、服の着替えやかばんを持つのがつらいときはありませんか?
□ 腕が痛くて、タオルやぞうきんがしぼりにくいときはありませんか?
□ 点滴した腕の外見上の変化が気になることはありませんか?
このような症状は「静脈炎」と呼ばれています。多くの場合、静脈炎には、点滴する薬の酸性度やアルカリ性度が大き く影響しています。pHの数値が低いほど酸性が強く、高いほどアルカリ性が強くなります。血液のpH は7.34-7.45です。
<薬の酸性度・アルカリ性度*1>
薬の中には、酸性の強いものや、反対にアルカリ性の強いものがあります。
このような薬を点滴すると血管に刺激を与えるため、静脈炎を発症する可能性を高くします。
▲静脈炎を起こした患者さんの腕。血管に沿って赤くなっています。
刺激の強い薬を使用して静脈炎が重症化すると、血管がもろくなります。そのため、カテーテルが血管に入りにくくなったり、血管の中に入ったカテーテルがしばらくして血管の外に出てしまい、薬が血管の外に漏れてしまったりする[血管外漏出(ろうしゅつ)]危険性も高まると考えられます。
薬の中には、点滴中に万一血管外漏出を起こすと、炎症や痛みを引き起こすものがあります。それだけでなく、周辺の細胞の壊死を引き起こして「やけど」のようなさらにひどい痛みを伴ったり、壊死した部分を手術で取り除くなどの別の治療が必要となったりすることがあります。
また、末梢静脈から点滴する場合、1週間に1~2回程度、カテーテルの定期的な入れ替えが必要になります。
刺激の強い薬を使用する場合に限らず、カテーテルの入れ替えなどのために何度も末梢静脈に針を刺していると、血管を傷つけ、次第に針が血管に入りにくくなることもあります。
□ 点滴を始めるまでに何度も刺し直しをされることはありませんか?
□ 点滴をするのがつらくて、治療を続ける意欲が落ちていませんか?
薬を末梢静脈から点滴すると、いろいろな問題が起こる可能性があることをご紹介しました。では、末梢静脈からの点滴のほかに、どのような方法があるのでしょうか。