インフォームドコンセント
点滴や注射によって化学療法を行うには、大きく分けて以下の二つの方法があります。
腕の静脈に細くて短いチューブ(カテーテル)を挿入し、そこから薬を点滴します。挿入は比較的簡単なので、現在一般的に行われている方法です。一方、細い血管に点滴するので、血管が薬による刺激を受けやすく、そのため使う薬によっては痛みを伴ったり、血管を傷つけたりすることがあります。
□点滴した腕は痛みませんか?
□点滴した血管のまわりが腫れていませんか?
□腕が痛くて、服の着替えやかばんを持つのがつらいときはありませんか?
□腕が痛くて、タオルやぞうきんがしぼりにくいときはありませんか?
□点滴した腕の外見上の変化が気になることはありませんか?
このような症状は「静脈炎」と呼ばれています。
抗がん剤を末梢静脈から点滴すると、血管を刺激し血管炎を起こすことがあります。
・静脈炎を起こした患者さんの腕。血管のあるところの皮膚が硬くなったり(1)、ひきつれたり(2)しています。
・静脈炎を起こした患者さんの腕。血管に沿って赤くなっています。
刺激の強い薬を使わない場合でも、何度も末梢静脈に針を刺していると、血管を傷つけ、しだいに針が血管に入りにくくなることがあります。
この項目にあてはまる方は、末梢の血管が細くなったり、もろくなったりしていることが考えられます。
では、がんの治療には、何回くらいの点滴が必要なのでしょうか?
がんの種類や治療方法によりますが、たとえば乳がんでは、術前の治療や術後の再発予防の場合、約6ヶ月間に6回~20回の点滴を行います。
症状によっては、点滴の回数がさらに増えたり、治療がより長期間にわたることもあります。
針が血管に入りにくくなると、薬が血管の外に漏れてしまう[血管外漏出(ろうしゅつ)]危険性も高まると考えられます。
抗がん剤のなかには、点滴中に万一血管外漏出をおこすと、炎症や痛みを引き起こすものがあります。
それだけでなく、周辺の細胞の壊死(えし)を引き起こして「やけど」のようなさらにひどい痛みを伴ったり、壊死した部分を手術で取り除くなどの別の治療が必要となることもあります。
抗がん剤を末梢静脈から点滴すると、いろいろな問題がおこる可能性があることをご紹介しました。
では、末梢静脈からの点滴のほかに、どのような方法があるのでしょうか。